貫通式
「ほんとにいいのか?」 「いい」 他に誰も居ない部室で、俺は長門と相対していた。 「しかしな、俺もお前も初めてだろ? 上手くできるか分からんぞ。俺なんかにやらせていいのか?」 「……是非あなたにやってほしい」 長門の俺を見る目は真剣そのものに見えた。 「気持ちは嬉しいんだが……人によっては痛かったり、血が出たりするっていうぞ?」 「構わない。あなたがしてくれるのなら平気」 「厳密にいえば法律に触れるし……」 「見つからなければどうということはない」 まあ割と誰でもやっているしな。人にしてもらう方がいいようだし。 「……分かったよ。お前がそこまでいうんなら」 「お願い」 包装を破って中のものを取り出す。先端に軟膏を塗っておくとスムーズに入るらしく、長門があらかじめ用意していたので塗りつける。 「えっと……ここでいいのか?」 大体この辺り、という位置に宛がう。 「そう。そこ」 「よし……じゃあ、行くぞ?」 「そこまでよっ!!」 部室のドアがバーンと大きな音を立てて開いた。 「ようハルヒ」 「あんたたち学校でなんていかがわし……何やってんの?」 俺は手に持ったピアッシングニードルを示した。 「いや、長門がピアスを開けてみたいといい出してな」 その後なぜか顔を真っ赤にしたハルヒにピアスは校則違反だと諭され、敢えなく断念した長門だった。 |
(2007/12/25-2008/01/07)